うししの感想

アウトプットとして

映画『私の男』の感想 ~原作が好きだからガッカリは仕方ない (ネタバレあり)

同名の原作小説(作:桜庭一樹)が好きで、浅野忠信(浮気して離婚してイメージ悪いけど、やっぱりかっこいい・・)と音楽がジムオルーク!これは観るしかないと思ってた。

 

でも小説で共感したところが、映画では正反対の解釈がされていて残念だった。そもそも私の見方が合っているのかも分からないけど。

 

あらすじは、

家族(母親以外は血がつながっていない)を失った少女(二階堂ふみ)が、実父(浅野忠信)に会い、育てられ、互いに愛し合うようになる。

 

原作を読んで、2人の関係つまり近親相姦は「世間で悪いとされていること」の比喩だと思っていた。まわりからは少し浮いてしまうけど、自分の心に素直に生きているから幸な主人公。

 

好きなシーンの1つが、いつも世話をやいてくれた近所のおじさんを主人公が殺してしまうところ。このおじさんは近親相姦を知って2人を引き離そうとしたから、主人公はけっこうな怒りとともに殺してしまう。

 

このシーン、押し付けられる世間の価値観を、必死ではねのける姿に見えたのです。おじさんの「いい人さ」が、悪気なく"正しいこと"を強要してしまう姿をよく表している。

 

実父は、世間ばなれしているけど主人公にとっては魅力的な人。映画では、最終的にダメダメの気持ちの悪い人、として描かれていて、近親相姦や殺人(彼も人を殺してしまう)を断罪されているようにも見えた。

 

だから「自分の心に忠実に生きること」を描いていた小説が、映画は「世間の価値観で断罪」する側という正反対のメッセージ見えてしまった。

 

映画の公式サイトでの、原作者 桜庭一樹さんのコメント。

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世間に背を向けて生きようとする幼い意思に

寄り添って書き続けていた時期のことを生々しく思い出しました。

(中略)

映画は淳梧(実父)と花(主人公の少女)の関係性を客観的に捉え、突きつけてくるように感じました。

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映画『私の男』公式サイトより

 

桜庭さんのコメント読むと、私が考えてたこともそんなに間違ってないかなぁ…と思ったり。まぁ作品を読んでどんな解釈をするのかは自由だし、映画はまた別の作品だからね。